そもそも「能」とは?
みなさんは能と聞くと、どんなイメージがありますか?
お神楽が流れている中で、能面を付けて着物を着た人達が踊っていて…
という場面を想像する方もいらっしゃるかもしれません。
しかし能というのは、実は「能楽」の中の一つの種類です。
この記事では、熊本で能が盛んである背景や
能楽の基礎的な知識(役割、演目の種類)、
熊本で鑑賞できるイベントスケジュールをご紹介します。
(ちなみに、能は「踊る」とは言いません。「舞う」と呼びます。
しんとした空気を感じる、風情がある言い方ですよね)
熊本で「能」が盛んな背景
古来、能は神様に捧げる舞として神社仏閣で奉納されていました。
現在でもお正月や大祭など重要な祀りでは
能が奉納され各地域に根付いています。
特に熊本は、藩主細川家が「利休七哲」の1人に数えられる細川三斎を筆頭に
文化水準の高い家柄でした。
そのため江戸時代では、徳川御三家の紀伊藩・尾張藩・前田藩・伊達藩、
そして細川藩が、能の盛んな地域だったと言われています。
初心者でも大丈夫。能の楽しみ方アレコレ
さて、ここからは能に関する基礎知識をご紹介していきます。
1.能楽の「役割」
登場人物の役割には呼び名があります。
まず「シテ方」と言われるのが、いわゆる主役。
地謡(じうたい)とも言われます。
シテの相手役を演じるのが「ワキ方」。
そして、能の合間・または途中で登場する「狂言方」。
楽隊は「囃子方」と呼ばれ (笛・小鼓・大鼓・太鼓)が加わります。
現代で言うところのミュージカルのような構成ですね。
このように、能楽には「音楽」「ミュージカル」「日本中世文学」
(和歌:万葉集・古今和歌集、古典文学:竹取物語・伊勢物語・源氏物語・平家物語)
といった要素が含まれています。
歴史や文化的な能楽の楽しみ方は、他にもたくさんあります。
2)能学の種類
そもそも「能」と言われるものは、全ての要素が詰まったフルセットの舞台です。
一番シンプルなものが「素謡(すうたい)」で、これは謡のみです。
次に「素囃子(すばやし)」といって、お囃子のみの舞台。
そして紋付袴での舞と地謡(じうたい)で構成される「仕舞(しまい)」、仕舞に囃子が加わった「舞囃子(まいばやし)」。
そして、装束付の舞と地謡、囃子と全てが揃った「能」という順番です。
これらの順序はとても厳格に定められており、
略式のものに上位のものを組み合わせることはできません。
例えば素謡のみに装束を加えることはできず、
「装束を付けるときには囃子をつけなければならない」
というルールがはっきりとあります。
能楽ではこのような伝統を大切に重んじ、現代に受け継がれています。
3.演目の種類
続いて、演目の種類について見ていきましょう。
能は主役が何かによって、以下のように分けられています。
初番目物(脇能物) …神様
二番目物(修羅物) …男性、武将の亡霊
三番目物(蔓物) …女性
四番目物(雑能)…他の分類に属さないもの
五番目物(切能) …人間以外(鬼・天狗・妖精)
つまり、主役が神様の場合は「初番目」という言い方をします。
これが能の「番組」と呼ばれるもので、
昔は一番目(初番)から五番目まで通しでやっていました。
現代でも五番立てで行うのが正式な形です。
余談ですが、テレビの番組表は、この「番組」から来ており
能の用語から現代の日本語になった言葉は、他にもたくさんあります。
例えば、いくつかの条件が整った状態を「三拍子揃う」
と言いますが、これは小鼓・大鼓・太鼓の3種が揃った状態から来ています。
こんな語源について学ぶことも、能楽の楽しみの一つです。
どこで鑑賞できる?
能楽が盛んな熊本では、現在でも能の奉納が脈々と行われています。
これらは神様に奉納する神事のため誰でも見ることができます。
そしてなんと…無料です!!
初心者の方は、まずはここから
能を観る機会を増やしてみてはいかがでしょうか?
熊本能楽奉納スケジュール
1月5日
松囃子 北岡神社11時頃~/藤崎八幡宮13時頃~
8月第1土曜日
薪能 出水神社/18時半~
9月敬老の日
藤崎八幡宮秋季例大祭 段山御旅所/9時~
毎年夏開催
熊本 万作・萬斎の会「狂言の会」
毎年お正月に奉納される松囃子に加え、
熊本県最大の大祭である
「藤崎宮秋の例大祭」は400回以上も奉納されています。
そして、出水神社の「薪能」も60回を越えます。
どちらも長い歴史が脈々と引き継がれています。
一般公演では、野村萬斎さん出演「熊本 万作・萬斎の会」が
毎年夏に熊本で開催されています。
もっと「能楽」を楽しみましょう
オフィスエムでは、各公演の約1か月前に
事前勉強会を開講しています。
当日舞われる演目についての解説をはじめ、
能楽をもっと楽しめるようになるように
充実した内容の能楽講座です。
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