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漆は英語でJAPANと言われています。
15世紀の南蛮貿易、17世紀の東インド会社、1900年に開催されたパリ万国博覧会で日本の美術品や工芸品がヨーロッパに渡りました。
その時に特に評価されたのが漆であったことから日本の代名詞・愛称といして漆のことをJAPANと呼ばれるようになったそうです。
平安時代に上質な漆器が貴族の日常食器や容器として使われるようになり各地の産業として漆は重要な地位を占めるようになりました。
江戸時代には会津藩や加賀藩、津軽藩など、農作物が育ちにくい北国において産業育成のために力を入れて開発されました。
現代でも京都をはじめ石川県や福島県など全国で漆器は作り続けられています。
上の2点は安比塗(岩手県)の汁椀
3点目は匙屋(大分県)の子供用汁椀
漆器は生地に漆(うるし)の樹脂を塗ったモノです。
漆は乾燥して固まるとたいへん強靱で、熱にも湿気にも強く、また酸性やアルカリ性にも耐性が在ります。
漆器の魅力は機能が優れているだけではなく
口に触れた時の繊細な舌触り、使い続けて出てくる艶は時を重ねた芸術品です。
漆器のもう一つの魅力は「かたち」です。
伝統的な漆器の産地では漆器の生地を掘る職人と漆を塗る職人は別々です。
高度な技術で掘られた器は滑らかなフォルム、
椿皿や片口など日本独特の器の様式は暮らしの食器ではなく木の彫刻です。
そしてこれぞJAPANと言わしめたのが「蒔絵(まきえ)」です。
若い頃、お正月やお祝いの時に出てきた蒔絵の器は豪華すぎて苦手でした。
しかし年を重ねふと古い蒔絵のお皿に出会いました。
それが上のお皿です。
漆黒に繊細に描かれた金の蒔絵。
松の幹には贅沢に厚く塗られた金。
何と品があり美しいのでしょう。
一目惚れでした。
安比塗の汁椀は毎朝お味噌汁の時に登場します。
椿皿は和菓子やケーキなどをのせています。
蒔絵のお皿は干菓子をのせたり、秋の月夜やお正月にお軸の代わりとして室礼に使ったりもします。
日本のうつわは機能性だけではなく
時を重ね洗練されたフォルム
卓越した職人・アーティストが生み出す価値ある芸術ではないでしょうか。
次回は「日本のうつわ 陶器編」です。
お楽しみに!!
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