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1月の能から学ぶ日本の歴史・文化 『翁・三番叟』

写真は毎年4月16日~18日に催される厳島神社「桃花祭御神能」での翁の様子です。

江戸城では新年に能が盛大に催され、その際には必ず『翁』が舞われました。

地方の大名も幕府に習い、全国で正月には翁が舞われるようになりました

では、なぜ翁が正月に舞われるようになったのかを考えていきたいと思います。

流儀 

五流にあり

分類 

「能は能にしてあらず」といわれどのカテゴリーにも属さない唯一神聖な曲

登場人物 

シテ 翁

ツレ 千歳

アイ 三番叟

上演時間 約1時間

「翁」は、「能にして能にあらず」といわれ、まさに別格の一曲です。

神聖な儀式であり、演者は神となって天下泰平、国土安穏を祈祷する舞を舞います。

代表的な謡をご紹介します。

まず謡い出しでは

呪文のような言葉からはじまります。

「滝の水音」「仏教の陀羅尼」「囃子の音や声」「チベット語」など諸説あります。

「千年の鶴は。万才楽と歌うたり。又万代の池の亀は。甲に三極を備えたり。天下泰平国土安穏。今日のご祈祷なり。ありわらや。なじょの翁ども。」

翁に続けて狂言方が舞う舞が「三番叟(さんばそう)」。

魂振鎮魂をして五穀豊穣を祈り、感謝を捧げるもので、

直面(面をかけない状態)で拍子を多用して地固めをする「揉ノ段」

黒い尉の面をかけて稲穂の象徴である鈴を持って舞う「鈴ノ段」からなる。

土地を耕し種を撒く所作を表現している。

人生50年の時代、腰が曲がり白髪の老人は神様のような存在でした。

翁はただの老人ではなく、霊的な力を授けられた”神の使い”であると考えられていました。

白い翁は国土安泰を祈り舞い、

黒い翁は田の神様と考えられ、 農作業で日焼けした老人を表したもので五穀豊穣を祈り舞います。

通常の演目では、面をつける役者は舞台に登場する前から面をつけています。

「翁・三番叟」では役者は舞台上で面をつけ、舞が終わると舞台上で面を外します。

翁は国土安泰を祈り、三番叟は五穀豊穣を祈り舞う。

はストーリーはなく、寿ぎの言葉を連ねた古典ラップのようなものである。

三番叟田の神様「揉ノ段」地固めをし、「鈴ノ段」田植えを表現している。

鶴・亀・万歳楽まんざいらく・千秋楽

天下泰平国家安穏

「とうとうたらり、たらりら。たらりあがりららりとう。」

お正月の神社での能奉納ではよく翁が演じられますので見に行かれるのはいかがでしょうか?

翁の最初の謡い出しで「とうとうたらり、たらりら。たらりあがりららりとう。」が聞こえます!!